エコキュートの水漏れ・故障に火災保険は使える?

エコキュートの水漏れ・故障に火災保険は使えるか
この記事でわかること
  • 補償対象になりやすいケースと、対象外になるケースの分かれ目
  • 申請の流れと、修理前にやっておくべきこと
  • 「保険で無料で修理できる」という勧誘に対する公的機関の注意喚起

落雷のあとエコキュートが動かなくなった。
火災保険が使えると聞いたけれど、本当だろうか。

エコキュートの故障や水漏れに火災保険が使えるかどうかは、原因が自然災害などによるものか、経年劣化によるものかで分かれます。落雷、風災、雪災などが原因であれば補償の対象になる場合があります。

一方、日本損害保険協会は「経年劣化によって生じた損害は支払の対象とはなりません」と明記しています。長年使っての故障は対象外と考えるのが基本です。

また「保険を使えば自己負担なく修理できます」という勧誘については、国民生活センター・消費者庁・日本損害保険協会がそろって注意喚起を出しています。この記事ではその内容もあわせて整理します。

なお適用の可否は保険会社と契約内容によって異なります。この記事は一般的な情報の整理であり、個別の判断は必ずご加入の保険会社にご確認ください。

目次

結論|原因が「災害」か「経年劣化」かで分かれる

判断の軸はひとつです。

エコキュートの故障で火災保険が使えるケースと使えないケース

補償対象になりやすい原因

  • 落雷(直撃だけでなく、近隣への落雷による影響も含まれる場合があります)
  • 風災(台風・突風で飛来物が当たった、機器が倒れたなど)
  • 雪災・雹災(積雪の重みによる損傷など)
  • 水災(洪水による浸水。ただし補償対象は商品による)
  • 破裂・爆発

対象外になる原因

  • 経年劣化(長年使ったことによる故障)
  • 機器そのものの故障・不具合
  • 地震・噴火・津波(地震保険の付帯が必要)
  • 施工不良(工事保証の領域)

「壊れたから保険」ではありません。何が原因で壊れたかを示せるかどうかが分かれ目です。

条件を満たす必要がある場合も

日本損害保険協会は、風災や雪災について「損害額が一定額以上になった時に保険金が支払われる」など、一定の条件を満たすことが必要になる場合があるとしています。

免責金額(自己負担額)の設定によっては、修理費用が少額だと保険金が出ないこともあります。契約内容を確認してください。

補償対象になりやすいケース

エコキュートで実際に起こりやすい状況に当てはめて整理します。

落雷による故障

もっとも多い相談です。落雷は直撃しなくても、近隣への落雷による電圧の変動で電子部品に影響が及ぶことがあります。

三菱電機は、リモコン通信異常(H01)について「落雷等の影響で貯湯ユニットとリモコンの通信が正常に動作できていない可能性」を挙げており、電源が入らない症状の修理概算についても「落雷による故障時、複数部品交換が必要な場合があり、上限金額を超えることがある」と注記しています。

落雷があった日時と、その直後に不具合が出たことを説明できると申請が進めやすくなります。

台風・強風による損傷

飛来物が当たってヒートポンプユニットが破損した、強風で機器が倒れた、といったケースです。

倒れた原因が固定不足(施工不良)である場合は、保険ではなく工事保証の領域になることがあります。

雪害・凍結による破損

積雪の重みで機器が破損した場合は雪災として扱われる可能性があります。ただし凍結による配管の破損が補償対象になるかは、契約内容によって扱いが分かれます

凍結防止の処置を怠っていたと判断されると、対象外になる場合もあります。凍結の予防と対処はエコキュートの凍結・断水・停電時の対応マニュアルにまとめています。

浸水・水災

洪水や高潮で機器が浸水した場合、水災の補償が付いていれば対象になる可能性があります。ただし水災補償は商品によって付いていない場合があります

浸水した機器は、外観に異常がなくても内部の電気部品が損傷している可能性があります。三菱電機は浸水・破損時の対応として、200V電源ブレーカーと貯湯ユニットの電源レバーを「切」にし、給水配管専用止水栓を閉じてから連絡するよう案内しています。通電せずに連絡してください

対象外になるケース

こちらのほうが実際には多くなります。

経年劣化による故障

日本損害保険協会は「経年劣化によって生じた損害は支払の対象とはなりません」と明記しています。設置から10年前後が経過しての故障は、原則としてこの区分です。

エコキュートの寿命は一般に10〜15年が目安とされており、この年数に達した機器の不具合は経年劣化と判断されやすくなります。

機器そのものの不具合

部品の故障や製造上の問題は、保険ではなくメーカー保証・延長保証の領域です。保証期間内であれば無償で修理される可能性があります。

地震による損害

地震・噴火・これらによる津波を原因とする損害は、火災保険では補償されません。地震保険を付帯(セット)して契約する必要があります。

施工不良

設置が不適切だったことによる不具合は、施工した業者の工事保証で対応する領域です。原因の切り分けが難しい場合は、点検の際に施工に起因するものか機器の不具合かを確認してもらってください。

【表1】火災保険が使えるケース・使えないケースの分類

原因扱い備考
落雷対象になりやすい近隣への落雷による影響も含まれる場合がある
台風・強風による損傷対象になりやすい損害額が一定額以上などの条件がある場合も
雪災・雹災対象になりやすい同上
水災(洪水・高潮)対象になりやすい水災補償が付いている契約に限る
破裂・爆発対象になりやすい
凍結による配管破損契約により分かれる予防処置を怠った場合は対象外となることも
経年劣化対象外損害保険協会が明記
機器そのものの故障対象外メーカー保証・延長保証の領域
地震・噴火・津波対象外地震保険の付帯が必要
施工不良対象外工事保証の領域

※一般的な整理です。実際の適用可否は保険会社と契約内容によって異なります。必ずご加入の保険会社にご確認ください。

申請の流れと、修理前にやっておくこと

手順を間違えると、対象になるケースでも申請が難しくなります。

最優先|修理前に写真を撮る

これが最も重要です。修理してしまうと現場は元に戻り、被害の状況を示す証拠がなくなります。

  • 全体が分かる引きの写真
  • 損傷している箇所の寄りの写真
  • 周辺の状況(飛来物、倒木、積雪など原因が分かるもの)
  • リモコンのエラー表示

スマートフォンで構いません。撮影日時が記録されるため、災害の発生日との関係も示せます

申請の一般的な流れ

  1. 保険証券で契約内容を確認する(補償範囲、免責金額)
  2. 保険会社または代理店に連絡する
  3. 被害状況の写真を撮る(修理前に)
  4. 修理業者から見積書を取得する
  5. 保険会社に必要書類を提出する
  6. 調査・査定を受ける
  7. 保険金の支払い可否と金額が決まる

用意する書類

  • 保険金請求書(保険会社の書式)
  • 被害状況の写真
  • 修理見積書
  • (求められる場合)罹災証明書や気象データ

修理業者には「火災保険の申請に使うので、原因が分かる書き方で見積書を作ってほしい」と伝えてください。「経年劣化」と書かれると申請が通りません。ただし事実と異なる記載を求めるのは絶対にしないでください。後述のとおり、虚偽の請求は重大な問題になります。

時効に注意

保険金の請求権には時効があります。被害が発生してから時間が経つと請求できなくなるため、気づいた時点で早めに保険会社へ連絡してください。具体的な期間は契約内容によります。

「保険で無料で修理できる」という勧誘に注意

この分野には、公的機関がそろって注意喚起を出している問題があります。

国民生活センターの注意喚起

国民生活センターは2020年10月1日、「保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる」と勧誘されてもすぐに契約しないようにしましょうという注意喚起を発表しています。2018年9月にも「保険金を使って住宅を修理しませんか」がきっかけのトラブルとして、高齢者からの相談が増加していると公表しました。

消費者庁も注意喚起している

消費者庁は2024年6月27日、「火災保険を使って実質的に無料で修理ができる」などとうたい、火災保険金を利用した修理工事契約を締結させる事業者に関する注意喚起を公表しています。

日本損害保険協会も警告している

保険会社側の業界団体である日本損害保険協会も、住宅の修理などに関するトラブルについて注意を呼びかけています。保険を売る側の団体が警告しているという事実は重く受け止めてください。

報告されている主なトラブル

  • 保険金の3〜4割をコンサルティング料として請求される
  • 契約を解除しようとすると高額な違約金を求められる
  • 壊れていない箇所を細工して被害を作られる
  • 見積りと違う工事、廃材を使ったずさんな工事をされる
  • 保険会社にうその理由で請求が行われる
  • 「保険で修理できる」と言われたのに保険金が下りず、費用だけ残る

虚偽の請求は詐欺になり得る

もっとも深刻なのがこれです。事実と異なる理由で保険金を請求すれば、契約者本人が保険金詐欺に問われる可能性があります。「業者が勝手にやった」では済みません。

経年劣化による故障を「落雷が原因」として申請するよう持ちかけられた場合は、その時点で断ってください

健全な進め方

  1. まず自分で保険会社に連絡する(代理店でも可)
  2. 申請の手続きは契約者自身で行える
  3. 修理業者には見積書の作成を依頼するだけ
  4. 「申請サポート」を名乗る業者との契約は慎重に判断する

保険金の請求は本来、契約者が自分で行える手続きです。手数料を払って代行してもらう必要は必ずしもありません。

突然訪問してくる業者への対応はエコキュートの点検詐欺・悪質訪問営業の見分け方と断り方にまとめています。困ったときは消費者ホットライン188に相談してください。

保険と保証は別のもの

混同しやすいので整理しておきます。

【表2】保険・保証の使い分け

種類対象原因の例
火災保険自然災害などによる損害落雷、風災、雪災、水災
メーカー保証機器そのものの不具合部品の故障
延長保証機器そのものの不具合部品の故障(期間を延長)
工事保証施工に起因する不具合配管接続部からの漏水など
リコール・無償点検製造上の問題メーカーが公表した特定の不具合

確認する順番

  1. リコールの対象か(該当すれば無償。リコール情報一覧で確認)
  2. 保証期間内か(メーカー保証・延長保証・工事保証)
  3. 災害が原因か(火災保険)
  4. いずれにも当たらない(自費で修理または交換)

この順で確認すると、支払わずに済む可能性を取りこぼしません。とくにリコールと保証は見落とされがちです。

保険が使えなかった場合|修理と交換の判断

経年劣化と判断された場合、費用は自己負担になります。ここからは修理か交換かの判断です。

まず修理費用の目安を知る

メーカー2社が症状別の概算料金を公表しています。三菱電機は水漏れで16,500円〜68,200円、冷媒回路の故障を含む場合は73,700円〜188,100円。ダイキンはタンクからの水漏れで38,000円〜69,000円、お湯が沸かない場合で49,000円〜69,000円などです(いずれも税込・保証期間終了後の出張修理金額の目安)。

症状別の一覧はエコキュートの修理費用|症状別の相場と修理か交換かの判断基準で整理しています。

1年あたりのコストで比べる

  • 修理した場合:修理費用 ÷ 修理後に使えそうな年数
  • 交換した場合:交換費用 ÷ 想定使用年数(10〜15年)

交換費用を45万円、想定使用年数を12年とすると1年あたり約3万7,500円です。たとえば修理に15万円かかるなら、その後4年以上使えなければ交換のほうが安く済む計算です。

交換を軸に考えるべきケース

  • 冷媒回路や圧縮機の故障と診断された
  • 貯湯タンク本体からの水漏れがある
  • 設置から13年以上が経過している
  • 補修用性能部品の保有期間を過ぎている

補修用性能部品の保有期間は、主要メーカーで製造打ち切り後おおむね9〜11年です。起点になるのは製造が打ち切られた時点で、購入日ではありません。型落ち品を選んでいた場合、残りの期間は短くなります。詳しくはエコキュートの寿命は何年?平均10〜15年と交換時期7つのサインをご覧ください。

交換費用と補助金

交換の総額は、工事費・撤去処分費を含めて370Lクラスでおおよそ35万〜55万円、460Lクラスで40万〜65万円が目安です(相場・目安。機種と設置条件で変動します)。

国の補助金(給湯省エネ2026事業)が使える場合、基本額7万円/台に性能加算3万円/台で最大10万円/台が交付されます。申請手続きは登録事業者が代行します。依頼先が登録されているかを先に確認してください。金額や期限はエコキュートの補助金2026|最大18万円の内訳・条件・申請方法で整理しています。

※給湯器駆けつけ隊の公式サイトです

エコキュートと火災保険に関するよくある質問(FAQ)

エコキュートは火災保険の補償対象ですか?

原因によります。落雷、風災、雪災、水災などが原因であれば対象になる場合があります。一方、日本損害保険協会は「経年劣化によって生じた損害は支払の対象とはなりません」と明記しています。適用可否は保険会社と契約内容によって異なるため、ご加入の保険会社にご確認ください。

落雷で壊れたら必ず保険が使えますか?

必ずではありません。契約内容や免責金額、損害額の条件によって扱いが変わります。ただし落雷は補償対象になりやすい代表的な原因です。落雷があった日時と、その直後に不具合が出たことを説明できると申請が進めやすくなります。

修理してから申請してもよいですか?

修理前に写真を撮っておいてください。修理すると現場は元に戻り、被害の状況を示す証拠がなくなります。全体の引きの写真と損傷箇所の寄りの写真、原因が分かる周辺の状況を撮影しておくことをおすすめします。

凍結で配管が割れた場合は使えますか?

契約内容によって扱いが分かれます。凍結防止の処置を怠っていたと判断されると対象外になる場合もあります。まず保険会社に状況を伝えて確認してください。

地震で壊れた場合はどうなりますか?

地震・噴火・これらによる津波を原因とする損害は、火災保険では補償されません。地震保険を付帯して契約している必要があります。

「保険を使えば無料で修理できる」と言われました。

国民生活センター、消費者庁、日本損害保険協会がそろって注意喚起を出している勧誘手口です。保険金の3〜4割を手数料として請求される、解約時に高額な違約金を求められる、といったトラブルが報告されています。すぐに契約せず、まず自分で保険会社に連絡してください。

申請は業者に頼まないとできませんか?

保険金の請求は本来、契約者が自分で行える手続きです。保険会社または代理店に連絡すれば案内してもらえます。修理業者には見積書の作成を依頼するだけで足ります。

経年劣化なのに「落雷が原因」で申請するよう勧められました。

その場で断ってください。事実と異なる理由で保険金を請求すれば、契約者本人が保険金詐欺に問われる可能性があります。「業者が勧めた」では済みません。不安なときは消費者ホットライン188に相談してください。

まとめ|原因を示せるかどうかが分かれ目

押さえるべき点は4つです。

  • 災害が原因なら対象になりやすい(落雷・風災・雪災・水災など)
  • 経年劣化は対象外(損害保険協会が明記)
  • 修理前に必ず写真を撮る(撮り直しはできません)
  • 「無料で修理できる」という勧誘には応じない(公的機関が注意喚起)

保険を検討する前に、リコールの対象か、保証期間内かも確認してください。この2つに該当すれば無償で対応してもらえます。リコール情報一覧で型番を照合しておくと確実です。

いずれにも当たらず自己負担になる場合は、修理費用と交換費用を1年あたりのコストで比べて判断してください。設置から10年以上が経っているなら、両方の見積りを取っておくと選択肢が見えます。

※本記事は一般的な情報の整理であり、保険の適用可否を保証するものではありません。個別の判断は、ご加入の保険会社または代理店にご確認ください。

参照した出典一覧

出典内容確認日
日本損害保険協会「風水雪災等による損害を補償する損害保険」ほか補償対象となる自然災害、経年劣化は対象外、地震は地震保険2026年8月1日
日本損害保険協会「住宅の修理などに関するトラブルにご注意」修理トラブルへの注意喚起2026年8月1日
国民生活センター「保険金を使って自己負担なく住宅修理ができると勧誘されてもすぐに契約しないようにしましょう」(2020年10月1日)勧誘手口とトラブル事例2026年8月1日
国民生活センター「保険金を使って住宅を修理しませんかがきっかけでトラブルに」(2018年9月6日)高齢者からの相談増加2026年8月1日
消費者庁「火災保険を利用した修理工事契約を締結させる事業者に関する注意喚起」(2024年6月27日)事業者に対する注意喚起2026年8月1日
三菱電機「修理料金の目安<三菱エコキュート>」落雷時の修理費用の注記2026年8月1日
ダイキン工業 よくあるご質問「修理目安金額>エコキュート」症状別の修理目安金額2026年8月1日
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